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全員で巡回すればよいのか(感染防止対策加算に関する意見)

オピニオン 2016年4月10日 (日)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

以下の要望書を厚労省に提出しました。賛同頂ける皆さん、病院、医師会、学会などは同じような声を上げてください。医療政策にも正当な根拠(あるいはエビデンス)が必要です。 要望書 厚生労働省保健局医療課 殿 感染防止対策加算について 3月31日に連絡のあった診療報酬に関する疑義解釈資料において、「感染防止対策加算において、感染制御チームによる院内巡回を「構成員全員で行なう」こと、そして各病棟を毎回巡回し、病棟以外の全部署を毎月巡回することを義務付けている。これは悪策故に、改善を要求する。 構成員全員で巡回することは、その間、感染対策に関わるその他の業務を一切できないことを意味する。役割分担を行ない、構成員がそれぞれ異なる業務を同時に行ったほうがはるかに生産性は高い。構成員全員での巡回は作業効率が悪すぎるのだ。かつて大学病院では教授回診という悪弊があり、多数の医局員・学生がゾロゾロと行列し、その間病院機能の多くが停止した。貴殿らの政策はそれと同じである。 集団が一つの業務を行えば作業効率は落ちる。作業効率が落ちた場合の選択肢は2つしかない。仕事を減らすか、残業するかである。前者であれば感染対策...