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医療裁判、“冤罪”を防ぐのは医師◆Vol.1

スペシャル企画 2016年5月1日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

日本臨床医学リスクマネジメント学会シンポジウム「県立大野病院事件を振り返る」が4月3日に都内で開催され、同事件の関係者らが集まり、当時のエピソードを振り返りつつ、事件から学び得る教訓について議論を交わした。 弁護士の安福謙二氏 大野病院事件の弁護人を務めた安福謙二弁護士は、日本の刑事手続きは被疑者の人権への配慮に欠け、「国際社会で、『中世のものだ』と言われている」と司法の在り方を問題視するともに、「医療事故調査制度は、結局は刑事手続きとつながっていることを忘れないでほしい。今のままだったら、刑事捜査につながる。そのことに留意して、調査を行い、報告書を作成してもらいたい」と医療者に対し、警鐘を鳴らした。 大野病院事件の医療者にとっての教訓が集約されているのが、この言葉だ。帝王切開手術後に患者が死亡、担当した産婦人科医が業務上過失致死罪に問われた本事件では、2008年8月の福島地裁判決で無罪が確定した(『無罪の根拠は「胎盤剥離の中止義務なし」』を参照)。本事件の刑事捜査の端緒や起訴の根拠となったのは、医師が作成に当たった医療事故調査報告書や鑑定書だ。「専門家が作った報告書や鑑定書が、専門家...