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故佐藤教授の遺言、「福島の産婦人科は任せた」◆Vol.2

スペシャル企画 2016年5月5日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

福島県立医科大学産婦人科教授の藤森敬也氏 日本臨床医学リスクマネジメント学会の4月3日のシンポジウム「県立大野病院事件を振り返る」で、福島県立医科大学産婦人科教授の藤森敬也氏は、「県立大野病院事件が産科医療に与えた影響―福島県の産科医療再生に向けて―」というテーマで講演した。 事件当時、同大学産婦人科教授で、2010年に逝去した故佐藤章氏は、「福島の産婦人科はお前に任せた」との遺言を残したという。藤森氏は、前置癒着胎盤の術式を工夫するなど、本事件の教訓を生かし、妊産婦死亡率の減少につなげ、周産期医療の向上に努めているほか、東日本大震災後による福島第一原発事故後、福島県における妊産婦に関する健康調査と支援を実施するなど、遺言通りさまざまな取り組みをしていることを、故佐藤教授のエピソードを交えながら紹介した。妊産婦死亡率は全国的に見ても減少している。「大野病院事件をきっかけに、たくさんのシンポジウムや講演会が開催され、前置癒着胎盤の診断方法や術式、対策が検討された。本事件を機に、多くの妊産婦の命が救われるようになった」(藤森氏)。 福島県の産科施設は、2004年度の臨床研修必修化と2011...