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「胃がん予防、ピロリ菌除菌で可能」を証明◆Vol.20

スペシャル企画 2016年4月20日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――胃がんとピロリ菌との関連は分かってきていても、「ピロリ菌除菌で胃がんを予防できる」ことの証明には時間がかかった。 「ピロリ菌は、明らかな胃がんの発癌物質」というIARC(国際がん研究機関)の見解は、日本ではなかなか受け入れられなかったのですが、1996年にわが国でスナネズミにピロリ菌感染モデルを作成することに成功し、1998年には、スナネズミにピロリ菌を感染させることで胃がんを発生させることに成功しました。 ピロリ菌感染と胃がんの関係にとどめを刺したのが、当時、呉共済病院におられた、上村直実先生(現国立国際医療研究センター国府台病院院長)らの疫学研究です。約1500例の胃疾患患者を、内視鏡検査で約8年間にわたり、1~3年ごとに経過観察しました。その結果、ピロリ菌陽性者からは2.9%の胃がん患者が発見されたのに対し、陰性者からは1例も発見されませんでした。この結果は、2001年にNEJM誌に掲載され、世界的に大きな反響を呼びました。ほぼ同時期に、福岡県の久山町研究でも長期にわたる観察の結果、ピロリ菌陽性者の胃がん発症率は、陰性者の約3倍に上ることが報告されました。 そこで今度は次のス...