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Lancet論文、ピロリ菌除菌の適応拡大に貢献◆Vol.21

スペシャル企画 2016年4月21日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――ピロリ菌除菌が、胃・十二指腸潰瘍で保険適用になったのは、2000年のことだ。 ピロリ菌に感染すると、数週間から数カ月で100%ピロリ感染胃炎になります。このピロリ感染胃炎から胃・十二指腸潰瘍が発生するのです。そのほか、ピロリ感染胃炎は胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ、ITP(胃炎特発性血小板減少性紫斑病)などの発症につながります。またピロリ感染胃炎が持続すると、胃粘膜の萎縮が進行し、日本人では約8割が萎縮性胃炎に進行します。 ピロリ菌除菌が胃・十二指腸潰瘍の治療に保険適用されたのは、2000年。実は欧米では1994年にNIH(米国立衛生研究所)の勧告によって、除菌ができるようになっていたので、遅れること6年でした。当時、わが国では薬剤の適応拡大には、大規模な臨床試験を行う必要があったからです。 ピロリ菌除菌が胃・十二指腸潰瘍の治療に保険適用されて以降、潰瘍の患者数は減少(提供:浅香氏) しかし、1999年に「公知申請」という制度ができ、承認済みの薬については、科学的な根拠に基づき、医学的に公知であると認められる場合には、大規模臨床試験を行うことなく、適応拡大が可能になりました...