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「間違った鑑定書が冤罪を招く」◆Vol.3

スペシャル企画 2016年5月8日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

「検察が暴走したのではなく、間違った鑑定書が暴走させた」 「間違った医学・科学鑑定書が冤罪を招いている」 弁護士の安福謙二氏 日本臨床医学リスクマネジメント学会の4月3日のシンポジウム「県立大野病院事件を振り返る」で、「大野病院における医療事故を刑事事件にしたもの」というテーマで講演した、同事件の弁護人を務めた安福謙二弁護士はこう訴え、医療事故が刑事事件に至る要因には、警察・検察側の問題だけでなく、医療側の問題も大きいと指摘した。医療事故など専門性が高い刑事裁判は、専門家が書いた報告書や鑑定書によって大きく左右される。安福氏は、「依頼する側も問題だが、もっと大事なのはそれを引き受ける側」と述べ、医師らが専門家としての自覚を持つ重要さを説いた。 大野病院事件、「病理医」の鑑定が左右 安福氏は、大野病院事件の2006年2月18日の産婦人科医の逮捕当時のエピソードから講演をスタート。同20日に電話で弁護の依頼を受けたが、「全前置癒着胎盤」との言葉を口頭で聞いても、「何が『全』、『前』かが分からなかった」(安福氏)。それでも次第に「何とも言えない雰囲気を感じた。あちこちから『全国の医師が、大野...