刑事裁判、“冤罪”限りなく防げ!◆Vol.5
スペシャル企画
2016年5月17日 (火)
橋本佳子(m3.com編集長)
日本臨床医学リスクマネジメント学会の4月3日のシンポジウム「県立大野病院事件を振り返る」で、最後に登壇したのは、弁護士で元裁判官の木谷明氏。 弁護士で元裁判官の木谷明氏 37年間の裁判官時代、30を超す無罪判決を出し、うち控訴されたのは1件にとどまる。しかも控訴棄却に終わった。有罪判決率が「99%」とも言われる日本の刑事裁判の中では、異例の無罪判決の多さだ。 木谷氏は、「現実の裁判では、冤罪が極めて多数発生している。実際に無罪判決になった判決、あるいは再審で無罪になったのは、氷山の一角であり、現実には無実の罪で苦しんでいる人が大勢いる」と赤裸々に現状を語った。「なぜこんな証拠で、有罪になるのか、という例も珍しくない」と問題提起し、「冤罪を撲滅することは不可能だが、それぞれの立場で、冤罪回避のために精一杯の努力をしていくほかない」とシンポジウムの参加者に呼びかけた。 木谷氏によると、冤罪が生じる背景には、取り調べにおいて“完全可視化”が進んでいないなど、制度上の問題のほか、警察・検察、弁護、鑑定、マスコミ、裁判所・裁判官など、それぞれ立場の関係者に問題があるという。 医療刑事裁判で問題に...
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