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臨床研修必修化、「パンドラの箱を開けた」◆Vol.28

スペシャル企画 2016年4月28日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――医学教育、医師養成に長年携わってきた立場として、浅香氏が問題視するのが、卒後2年間の臨床研修制度だ。「厚労省が始めた制度よりも、それまで北大がやってきたシステムの方が優れていた」と浅香氏は自認する。 北海道大学医学部には、第1内科、第2内科、第3内科と3つの内科学講座がありました。建前は、どの診療科も総合内科なので、全ての内科疾患を診療できることになっていましたが、実際は臓器別に分かれてきており、第1内科は呼吸器、第2内科は膠原病、糖尿病、腎臓病、第3内科は、消化器、血液の診療が中心でした。 私が1994年に教授になった翌年、「内科に入局希望の研修医は全員、2年かけて3つの内科をローテーションしてはどうか」と提案したのです。年配の第1内科の教授からは、「これまできちんと各診療科で卒後研修を行ってきて何の問題もないのに、なぜローテーション研修が必要なのか」と反対の声が上がりました。 しかし、同期の第2内科の小池隆夫教授は、「これまでの各科のみで行っていた卒後研修では、若手の研修医が満足しなくなってきた。多くの研修医を内科に呼び集めるには、専門性の高い研修が絶対に必要」と述べてくれたお...