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“大学病院の危機”、現実に◆Vol.29

スペシャル企画 2016年4月29日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――今の大学の在り方として、卒後研修以降の医師養成課程における存在意義の低下、ひいては医学研究にも支障が生じる懸念をする。 臨床研修の必修化で増えたのが、どこにも所属しないフリーの医師。2年間の研修義務さえ終了すれば、専門医などの資格も、学位も要らない。ある程度の収入があり、自分の趣味に合った暮らしができ、週末は家族と楽しく過ごすことができれば他に望みはない……。そう考える医師が増えてきています。確かに、医局などに拘束されない、いわゆるフリーター医師が増える状況は、過去には考えることのできなかった現象と思います。彼らの多くは、自らステップアップしていく意思を持ち合わせていないので、いつまで経っても医師としての技量は伸びていきません。さらに問題なのは、彼らがアルバイトのできる病院の多い大都会に集まる傾向が見られることです。厚労省の考えとは逆に、地域に行く医師はこの研修制度によって減少すると考えています。 私は北大医学部の同窓会長を務めており、卒業式の挨拶で毎年「noblesse obligeという言葉は、高貴ゆえに果たさなければならない義務を意味しているが、医師になると言うことは、nob...