教科書は「学ぶ、応用する、作り変える」◆Vol.30

――最後に、医師を目指す学生、若手医師へのメッセージを語ってもらった。 われわれが入学した時代は、今ほどは医学部入試の偏差値は高くはなかったので、「医師になりたい」という志を持っていた人たちが自然の流れで医学部に集ったように思えます。ところが、最近は志は関係なく「高校の成績が良かったから」という理由で医師になる人が圧倒的に多いように感じます。どのような医師になるのかではなく、難関である医学部に入ること自体が最終目的で入学している学生が増えているような気がするのです。ただ、それでも入学してから6年間しっかりと医学部教育を受けることで､大半の学生はきちんとした目的意識を持って卒業していくと思っています。 卒業後、2年間の臨床研修がありますが、それを修了するとようやく皆さんが夢見ていた志の実現に向かって歩み始めることになります。臨床のどの診療科を専攻したとしても、一生懸命努力することは特に若い時代には必要と感じています。この時期は新しいことがどんどん身に付く厳しい中にも生きがいを感じ、楽しさを見い出せる貴重な日々でしょう。 ここからは北大医学部の場合ですが、専門領域の研修をして数年経つと、教...