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「陽は当たらず」とも研究テーマ変えず- 坂口志文・阪大特任教授に聞く◆Vol.2

インタビュー 2016年5月5日 (木)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――今日(3月23日の定年記念講演会。『坂口阪大教授、「免疫学の常識覆す」軌跡語る 』を参照)のイントロの部分で提示されたスライドで、一つの炎症性疾患でも、一つの臓器の障害で説明できるわけではなく、相互の疾患が関連しているように説明されました。そのような概念は、先生が愛知県がんセンター研究所に行かれた頃(1977年10月~)、既にあったのでしょうか。 「オーバーラッピング」とも言いますが、概念としては当時はまだなかったですね。一人の患者に、二つの病気が発症したら、それを発見した人がそれぞれ名前を付けるのが当時の医学。背景に、共通のメカニズムがあるという考えは、あまりポピュラーではなかった。自己免疫の研究者の中には、今でも特定の臓器に免疫反応を起こして研究するという古典的な方法でやっている人がいます。 私としては、そこ(オーバーラッピング)に固執したことが、最終的には良かったのかもしれませんね。 2015年、ガードナー国際賞を受賞。 ――関節リウマチでも、癌でも根本には共通のメカニズムがあると言える。 その点が免疫の面白いところです。癌に対する免疫反応、自己免疫疾患における免疫反応、移植...