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抗体医薬の「次」の研究目指す- 坂口志文・阪大特任教授に聞く◆Vol.5

インタビュー 2016年5月23日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生の研究では、まずin vitroで実験して、次にマウスで研究、さらにヒトで研究をする。ヒトへの最終的な応用も視野に入れて研究を常に進められています。基礎研究の中には、in vitroのままで続けるケースも少なくないように思います。 それが免疫学の面白いところ。免疫学というのは、ワクチン、癌免疫、自己免疫、移植免疫などを扱うために、ヒト、そして医療と結構近いのです。成功するとヒトに役に立つ研究の面白さがあります。 私の学問的興味は、免疫反応や免疫寛容。「なぜ免疫が自分に対して反応しないか」。それを免疫寛容と言いますが、そもそもそうした考え方が出てきたのは、戦争がきっかけ。大やけどをした兵士に、皮膚の移植をする。しかし、それが全てリジェクションされてしまう。「なぜだろう?」となり、イギリスなどは戦争中に研究にお金を付けた。シリアスな問題だったわけです。 そんなきっかけから研究を始めて、原理的なところまで持っていった研究者が、ノーベル賞を受賞したりするわけです(編集部注:1960年にオーストラリアのピーター・メダワー、イギリスのフランク・マクファーレン・バーネットが、後天的免疫寛容の...