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熊本地震に医療支援に行く医師のための、感染症診療のポイント

スペシャル企画 2016年4月21日 (木)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

個人の見解であり、所属先の見解とは限りません。また、個々の事例全てにこのブログの内容が当てはまるという保証はございません。ご留意ください。 熊本地震で尽力されている九州の医療者の皆様、支援に赴かれている各地の皆様、ご苦労さまです。 まだまだ余震も続き、外傷その他、様々な医療問題があります。長期化する避難生活での感染症もその一つです。 我々は東日本大震災時の石巻市での医療支援を、診療録情報を用いて分析しました。当時の感染症診療の問題点が明らかになりましたので、それを踏まえて熊本地震での感染症診療のポイントとして紹介します。詳しくは今年の日本プライマリ・ケア連合学会総会で発表し、その後論文としても発表する予定です。 まず第一に、災害時の感染症というと破傷風やレジオネラ肺炎といったトピックが注目されやすいですが、こうした事象は(重要ではありますが)マレです。日常的な感染症のほうがずっと頻度が高いです。 震災現場での診療は普段の診療とは大きく異なります。患者背景が異なることは多いですし、通常でしたら容易にできる検査も困難、あるいは不可能です。搬送判断も重要になります。 検査が困難なため、普段の...