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熊大、行き場失った留学生が相次ぎ帰国

スペシャル企画 2016年4月22日 (金)  坂口恵(m3.com編集部)

熊本大学発生医学研究所所長の西中村隆一氏は4月19日、「発生研内外の皆様へ」と題する文書を公式サイトで発表、今月14日から続く熊本地震で研究機器などが甚大な被害を受けたことを明らかにした。幸い職員は全員無事だが、震災により行き場を失った学生が広域避難したり、特に自費で帰国してしまう留学生が相次いだりしていることが大きな懸念材料と記している。 発生研に隣接する生命資源研究・支援センターでは、ライフラインが維持されているおかげで、実験用のマウスや凍結胚なども損傷なく保存できているという。西中村氏は、震災直後に京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏や関連学会の関係者らが、実験動物の保護を政府に求めたことに対し、感謝の意を示した。 一方で、西中村氏自身も車内や避難所に身を寄せた様子を紹介、現在の状況は「あと一発の余震で大きく変わる可能性がある」と厳しい見方を示している。 近日中にも地震で損壊した実験機器の修復を始めるほか、5月の連休明けには復旧活動と並行して研究を再開したいと同氏。研究室の復旧には1年以上の時間と莫大な費用がかかる見込みであるほか、住居を失った学生への長期的な経済的支援も必要...