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震災と感染予防。キャッチアップ・スケジュールの制度化を望む

オピニオン 2016年5月13日 (金)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

熊本地震からの復興が進んでいる。学校も再開し、避難所も再構成されつつあるようだ。しかしながら、現在も多くの方は避難所に避難しており、また車内で夜を過ごしている。当初から懸念されていた感染症と血栓症のリスクはいまだに存在する。 インフルエンザやノロの場合、感染経路の遮断は比較的容易である。感染経路を遮断すれば感染は広がらない。もっとも、過密な環境下であれば両者を防ぐのは極めて困難であり、避難所の人ー人間のスペース確保が大事である点はすでに述べた。 さて、人-人間のスペースを確保しても感染の広がりを防げない感染症もある。その一つが水痘(みずぼうそう)だ。 水痘患者が発生した場合、患者は速やかに隔離されねばならない。しかし関連率はとても高く、皮疹が発生する前に他者への感染性は生じている。(一部の例外を除き)、水痘は一回罹患してしまえばなんどもかかる病気ではない。だからすでに水痘罹患率がある方は心配ない。水痘ワクチンも有効なので、ワクチン接種歴があっても(1回でも2回でも)たいていは大丈夫だ。 しかし、日本では水痘ワクチンが定期接種化されたのはつい最近(2014年10月)のことである。多くの人...