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創設趣旨を逸脱、歪曲する産科医療補償制度の暴走を批判

オピニオン 2016年5月22日 (日)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

昨年10月施行の医療事故調査制度は、今年6月に法律の附則による「見直し」の検討期限となる。医師法21条の異状死を巡る改定提案などもでているが、制度推移の経過観察に止まるとの観測が大勢である。このような中、3月9日、日本産婦人科医会会長が、「原因分析全例の報告書を公表している産科医療補償制度をモデルに医療事故調査制度の改善を望む」と会見し、訴訟減少に寄与したと功績を誇っている。しかし、産科医療補償制度は創設の趣旨を逸脱、歪曲した制度設計であり、医療事故調査制度は原因分析を目的としたものではない。改めて、このことを指摘し産科医療補償制度の是正と、医療事故調査制度の理解の普及を広く求める。 ◆脳性麻痺児の発症の「補償」が制度の本旨 カルテ提出強要は民間団体「機構」の越権 産科医療補償制度は、福島県立大野病院での分娩事故への警察の介入という衝撃的事件を機に、医療界での産科からの敬遠、産科医不足が加速化し、この歯止めとし、過失の有無を不問とした無過失補償制度創設が強く求められ制度化に至ったものである。当時の与党、自民党の議論を経、厚労省社会保障制度審議会医療保険部会で創設が確認され、妊婦が掛金と...