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「どんな状況でも役に立てる人になりたい」- 中島侑子氏◆Vol.2

レポート 2016年6月8日 (水)  成相通子(m3.com編集部)

『医者のたまご、世界を転がる。』を上梓した中島侑子氏。 「お客様の中に、お医者さんはいませんか――」 初期臨床研修を終えて東南アジアから中東、アフリカ、南米、ヨーロッパで計52カ国を旅した中島侑子氏。著書『医者の卵、世界を転がる。』で、旅を続けるうちにドクターコールを「恐れるようになった」と述べている。 研修医時代は毎日当然のようにやっていた点滴も、旅を続けてブランクが1年、2年と広がるにつれ、自信がなくなってきた。旅先で会った人に、「医師である」と言うと頼られることが多々あった。しかし、きちんとした設備や医療機器も医薬品もない中で、満足な診療はできない。消化器系の腹痛を訴える女性に簡単な診察をした後「病院に行くように」と言いながら、持っていた胃薬を渡すことが正しいことなのか。感謝されても複雑な気持ちで、申し訳なく感じた。そのうち、日本で何をしていたのかを聞かれても、医師と答えずに「医療系の仕事」と濁すように。自信を失っていた。 どこに行っても感動が薄くなってきた――。そう感じ始めた2012年、3年に及んだ世界一周旅行に幕を閉じた。写真展や学校などで講演会をこなす毎日が終わると、「何を...