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オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~

オピニオン 2016年6月9日 (木)  藤田健二

創薬研究員、薬局薬剤師、学習支援・薬局研究部門のマネジャーを経て、シドニー大学大学院で薬学博士号の取得を目指す藤田健二先生に、オーストラリアの医療制度および薬局実務を読み解きながら、今後の日本の保険薬局のあり方について考察していただく本連載。第6回は「在宅医療への参画(Home Medicines Reviewなど)」についてお話しいただきます。 患者宅への医薬品の供給 オーストラリア国民の平均寿命は2013年時点で83歳。日本(84歳)に次いで世界第2位の長寿国です。また、オーストラリアの高齢化率(全人口に対する65歳以上の比率)は14.4%であり、既に高齢社会へと突入しています。その状況下、薬局薬剤師はどのように在宅医療に関わっているのでしょうか。 オーストラリアでは、終末期医療のために特別な医療チームを編成している場合を除き、輸液製剤が必要となる患者は病院や介護施設へ入院となるため、日本のように薬局での輸液の混合調剤や、患者宅での輸液バッグの交換といった業務はありません。薬局は定期的に医薬品を患者宅に届けますが、無料サービスであるうえ、患者の体調変化などを確認することはありません...