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帝王切開で死亡、遺族の請求認めた「高裁の判断」◆Vol.2

レポート 2016年6月23日 (木)  成相通子(m3.com編集部)

東京高裁で5月26日、2008年に静岡厚生病院(静岡市)で帝王切開手術を受けた後に死亡した妊婦(当時24歳)の遺族が、病院を運営する「JA静岡厚生連」と手術をした医師3人に損害賠償を請求した訴訟の控訴審判決があり、富田善範裁判長は、死因との因果関係を認めなかった一審を取り消し、病院側に約7490万円の支払いを命じた。病院側は6月10日までに最高裁に上告した。控訴審判決で認定された事実と判断を2回に分けてについて詳報する(認定事実は『帝王切開で死亡、遺族の請求認めた「高裁の判断」◆Vol.1』を参照)。 ■死因について 午前9時半の時点で、妊婦はショックに陥ったが、遺族はそのショックは出血性ショックで、適切な治療が行われていれば、救命可能であったことを前提に、医師らに過失があったと主張。医師らは、本件ショックは母体内に羊水成分が流入して発生した全身性のアナフィラキシーショックであり、手術の時点で妊婦を救命することは不可能だったと主張し、結果回避不可能性が無かったとして、遺族の過失主張を争っている。 ■裁判所が認定した事実 裁判所が認定した事実では、妊婦は午前7時20分ごろ、病院に到着した...