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3疾患の死亡率、「5年間で5%減少」 目指す- 小室一成・日循代表理事に聞く◆Vol.2

インタビュー 2016年7月24日 (日)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、高橋直純(m3.com編集部)

――日本の製薬企業は、循環器領域の薬の開発には熱心ではないとのことですが、海外の製薬企業の場合は、どうでしょうか。どの辺りの領域をターゲットにしているのか、また対症療法的な薬ではなく、何らかの根本的な治療薬開発のアプローチは進んでいるのでしょうか。 やはり重要なターゲットは、心不全だと思います。心不全の患者さんは世界中で増えていて、我が国でも循環器疾患による死亡のトップは、心不全です。心不全は、簡単に言えば、「心臓が動かなくなる」病態ですが、なぜ動かなくなるのか、その理由は実は分かっていません。そのため、「原因が分からないので、とにかく何とかしましょう」というのが今の治療。心臓に戻る血液を減らして、心臓を休ませる、あるいは補助人工心臓を植込んで、心臓の役割を肩代わりする治療が行われていますが、根本的な治療ではありません。 分子標的薬のように、原因を明らかにして、その原因に対する治療法を確立しないと、心不全は治せません。がんの治療は、これまではすごく遅れていたと思っていたのですが、メカニズムが徐々に分かり、分子レベルの治療薬ができ、治る疾患になりつつあります。一気に循環器疾患は追い抜かれ...