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総合診療専門医、質とコストの両面で有用 - 尾身茂・JCHO理事長に聞く◆Vol.3

インタビュー 2016年8月30日 (火)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――では、新たに基本領域の専門医として加わる総合診療専門医について、どうお考えですか。 一つの専門領域として極めて重要だと思います。総合診療専門医の医学としての専門性は、他の基本領域とは別に存在する固有のものです。それは若い医師が内科、外科などの各診療科を数カ月単位で研修したくらいで獲得できるものではありません。マクロな視点、そして患者さんの視点、両方から考えても、総合診療専門医は必要です。 まずマクロな視点です。欧米では、幅広くさまざまな疾患を臨床の一線で診ることができる医師と、その後方に専門医がいて、両者がうまく役割分担をしている地域と、そうではない地域では、前者の方が、医療の質、医療のアウトカムが高いというエビデンスが出ています。さらに、その2次的な効果として医療費も削減できることが分かっています。 日本の医療機関の7、8割は中小病院です。ベッド数100~200床の病院が、日本の地域医療を支えています。しかし、ここ10年くらいの期間で見ても、例えば医師が16人くらいいた病院が、6人まで減少するなど、医師不足に直面している医療機関は多い。それはなぜか。単に「医師が足りない」「医師が...