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事故の教訓生かし、医療の質・安全向上を◆Vol.5

スペシャル企画 2016年10月18日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

2006年に島根大“事故調”事件当時、島根大学産婦人科教授だった宮崎康二氏によると、本事件後、緊急帝王切開手術が必要になった場合、より早く準備ができるよう、手術室や麻酔科医などの協力も得て、消毒法、麻酔方法なども含め準備の手順や在り方を見直したという(本連載のバックナンバーは、こちら)。「従来は1時間近くかかることもあったが、患者役に見立てた職員をストレッチャーに乗せて、手術室まで運び、消毒、麻酔、手袋と術衣を付けて準備をするシミュレーションを重ねた結果、『グレードA』の緊急手術の場合、約14分でできるようになった」(宮崎氏)。 医療に100%の安全性と確実性はない。問題点を見い出し、改善を重ねる営みを続けるからこそ医療の発展がある。それは新薬や新規医療機器の開発にとどまらず、医療者の技術や医療機関の運営体制など、さまざまな分野で当てはまる。患者にとって不幸な事態が生じた場合、次世代の医療安全につなげることこそが、現場の医療者が果たすべき事故に対する責任と言える。 その実現のためには、責任追及ではなく、再発防止に向けた院内事故調査が求められる。それ故に、2015年10月からスタートした...