29歳、留学先で心臓外科の腕磨く◆Vol.9
スペシャル企画
2016年9月9日 (金)
橋本佳子(m3.com編集長)
――1969年、北村氏は、28歳でアメリカに臨床留学。当時としては非常に若い年齢での留学だった。 留学先は、南カルフォルニア大学の関連のセント・ビンセント病院で、お城みたいな外観の古い病院。そこで、助手フェローとして、アメリカの手術を見よう見まねで手伝いするようになり、そこから私の外科人生が始まった。 当時は、日米の医療の差は大きかった。冠動脈造影すら、日本では行われていなかった。そもそも、日本人は栄養状態が悪く、コレステロールが蓄積することすら考えられなかった時代。日本の心臓外科は小児の先天性疾患が圧倒的に多く、虚血性心疾患の手術は始まっていなかった。後天性疾患であれば、リウマチ性の僧帽弁膜症や大動脈弁疾患への手術が主だった。 これに対し、セント・ビンセント病院では先天性疾患の手術はあまりしていなかった。一方、多かったのが成人の心臓疾患。「ヴァインバーグ手術」という冠動脈手術をしていた。バイパス手術は、その後間もなく始まった。患者さんは内科のCCUから紹介されてきて、外科医が連携を組み、手術を実施していた。「この内科医が診た患者さんは、この外科医に送る」と大抵は決まっていた。 留学先...
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