1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 心臓の機能解析、活用したのは「数学辞典」◆Vol.10

心臓の機能解析、活用したのは「数学辞典」◆Vol.10

スペシャル企画 2016年9月10日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――当時、留学は2年が基本だったが、2年目の終わり頃になると、ケイ先生から、「次の日本人が来た時の教育係として、残ってくれ」と言われたという。 アメリカ留学時代、心臓内科医Max Echevarria氏(ペルー人)と(1971年頃、写真提供:北村氏) その際、「少し給料を上げてくれないか」と交渉し、少し上げてもらったのを覚えている。(当時の阪大第一外科教授の)曲直部先生にも説明しなければいけないので、ケイ先生に手紙を書いてくれるようお願いし、書いてもらった。 手術などに追われる日々だったものの、ようやく少し余裕が出てきたのは、留学してから3年目。日本から留学してきた医師たちに基本的なことを教え、私は別の病院に勉強に行けるようになった。その時に取り組んだのが、Left ventricle performance、左室造影の解析。この研究成果で、日本に帰国した後、早めに博士号を取得することができた。 その頃、アメリカでは、シネアンギオグラフィが登場し、心筋梗塞を起こした患者さんについて、左心室が動かなくなってしまった非収縮部位の面積や容積、その部位が左心室の中で占める割合、心臓の機能との関...