1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 世界初、川崎病に冠動脈バイパス手術◆Vol.14

世界初、川崎病に冠動脈バイパス手術◆Vol.14

スペシャル企画 2016年9月14日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――日本人に多い川崎病。北村氏は、その外科の治療法である内胸動脈を利用した小児冠動脈バイパス手術「KITAMURA Operation(ドイツ・中国・トルコからの論文でそう呼ばれている)」を開発した。この治療法は世界中で用いられるようになった。 川崎病に対する小児冠動脈バイパス手術など、外科医として常に新しいチャレンジを続けた(撮影:近藤宏樹) 奈良医大の時代には、本当に新しい手術を数多くやった。けれども多くは変法で、阪大時代から始めた「世界初」は川崎病に対する小児冠動脈バイパス手術のみ。 川崎病は、発熱があり、舌が「いちご舌」と言われるように、真赤になる病気。急性の炎症なので、動脈硬化ではなく、動脈炎により冠動脈に瘤が生じる。多くの小児科の先生は、「こんな急性熱性の病気では、手術の対象になんかならないだろう」と考えていた。 ところが小児科の先生がいろいろ調べていくうちに、熱が下がって、一見元気に見える子供の中に、心臓の血管に瘤が残っていることが分かってきた。最初に発見したのは、久留米大学小児科の加藤裕久先生。その話を聞いて、「これ、手術できるのちゃうかな」と考えるようになっていた。 ...