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「なぜ」事故が問題視されていなかったのか?- 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2016年9月9日 (金)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、高橋直純(m3.com編集部)

――先生は、これまで何件くらい事故調査に関わったのでしょうか。 2002年の名大病院での調査が最初で、群馬大学医学部附属病院が18件目です。調査の基本的な姿勢は、名大病院の調査で学んだことを踏襲していますが、地域性があり、病院による相違も感じています。群馬大の調査報告書を公表した記者会見でも述べていますが、関東の方は関西と比べて、ヒアリングの際、遠慮されているというか、おとなしいと感じました。 ――既に群馬大は院内調査で2015年3月に報告書をまとめており、マスコミ的に注目されている事故だったので、外部委員会の委員長の依頼をされた時は、どんな思いだったのでしょうか。 最初は、やはり「断りたい」と思いました。大変な調査になると想定された上、奈良から群馬まで行くのは、時間がかかるという事情もありました。 なぜ私が委員長に選ばれたかですが、調査経験があることが一つ。また「第三者性」から考えれば、私は外科医であっても、消化器外科ではなく、心臓血管外科が専門なので、専門性と所属学会が異なる上、仕事をしている地域も、卒業大学も違うからでしょう。さらに調査に関わった11カ月を振り返ってみれば、私が現...