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「報告書で遺族の納得は得られると思う」- 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く◆Vol.5

インタビュー 2016年9月22日 (木)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、高橋直純(m3.com編集部)

――医療事故が起きた場合、ご遺族側が、調査結果に納得しなければ、民事裁判に訴えるか、警察に届け出て、刑事的に調べてもらうという行動をされるケースもあります。この辺りを予防する視点は、今回の群馬大の報告書にも込められていますか。 民事裁判の場合、鑑定人を立てて鑑定書を書いてもらうことになるでしょうが、この報告書がある程度のレベルを超えていれば、報告書を見て民事的な話は進むのだと思います。 一方、刑事告訴されると大変なことになります。せっかく福島県立大野病院事件以来、刑事告訴はほとんど見られなくなったのに、「もう一度振り子が戻されるのではないか」という気持ちは常にありました。ただ、(群馬大の事故の場合、手術時も、また事故後も)説明が若干不十分だったとは思います。ご家族に説明に行こうとすると、メディアに流れるため、「どうすればいいのか」と関係者は思っているとは感じましたね。 今回の群馬大の事故が、約6年間問題視されなかったのは、皆が「自分を安全地帯に置いているから」と、上田裕一氏は考える。 ――今回、この外部委員会の報告書と、日本外科学会の医学的評価報告をきちんと読んでいただければ、ご遺族は...