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「隠さない、逃げない、ごまかさない」- 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く◆Vol.6

インタビュー 2016年10月4日 (火)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、高橋直純(m3.com編集部)

――先生が、2002年の名古屋大学の腹腔鏡事故の調査を経験されてから14年が経ちます。日本の医療安全の体制は進歩しているけれども、まだ改善の余地は大きいとお考えですか。 そうですね。名古屋大について言えば、私が1999年に名古屋大に着任した以降、他大学出身者が何人か教授などに就任されましたが、「名大は、こんな事故対応をしているのか」と驚かれる方が、いまだにいます。 ――どこが一番違うのでしょうか。 「隠さない、逃げない、ごまかさない」という、2002年の事故対応の方針を貫いていることです。 私は名古屋大病院の医療安全部長を約4年半務め、最後は心臓外科をやりたいので辞めさせてもらいました。国公私立を問わず、全国の大学病院の副院長クラスの医療安全担当者が集まる協議会が年2回開催され、この約4年半は出席していましたが、他の大学は大抵1年か、2年で担当が交代していました。担当の継続性がないことも問題でしょう。 ただ幾つかの大学に、ようやく医療安全管理の講座が作られるようになりました。また今回の事例に端を発して、特定機能病院については、この4月から「全死亡症例」の報告、検証が義務化されました。こ...