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国循赴任、「組織移植医療」に本腰◆Vol.18

スペシャル企画 2016年9月18日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1997年10月、国立循環器病センター(現国立循環器病センター)病院に、副院長として赴任する。 国立循環器病センターへの赴任を決めたのは、心臓移植を実施すること。もう一つには、組織移植医療に本格的に取り組むという気持ちもあった。亡くなった人の心臓から、大動脈弁や肺動脈弁を採取し、それを凍結保存して使うのが組織移植医療。アメリカやヨーロッパでは既に法律に基づく組織バンクが設立され、実施されていたものの、日本にはどこも組織バンクはなかった。 そのため、当時の文部省の研究費をもらって、組織バンクを日本で初めて作ったのが、奈良県立医大。組織バンクを既に取り組んでいるアメリカにスタッフを留学させて立ち上げた。「先生は、なぜ新しいことをどんどん始めることができるのですか」と聞かれたこともある。それは確かにリスクもあったけれど、世界的に見たら、既に数多くやられており、日本だけ遅れていたから。 数多くの「ホモグラフト」手術をやり、学会発表や論文を書いていたから、当時は、「ホモグラフトの心臓手術と言ったら、日本では北村」となっていた。けれども、奈良医大は、大学の事業としては学長は認めてくれず、自分で...