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国循、「副院長」ポストを用意したわけ◆Vol.19

スペシャル企画 2016年9月19日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――国立循環器病センター(現国立循環器病研究センター)への赴任当時、院長ではなく、副院長というポストに不満はなかったのだろうか。 大学教授が、副院長のポストに来たことは前例になく、大抵は院長で来ていた。「副院長というのは、中途半端やな」と思って、生意気にも、「なんで副院長なんですか」と聞いたら、国立循環器病センターの当時の菊池総長は、「北村には手術してもらわな、あかんからや」という答えだった。「手術は、院長職にはできへん。お前の失敗を謝るのが、院長だ」と。 「あ、そうやな」と思ってね。院長はマネジメント職、総長も同じ。菊池先生は技術主義者で、「手術がうまいやつやないと、あかん」「手術ができへん外科医ほど、社会の悪はない」などと今でも公言している先生から言われたので納得した。 国立循環器病センターの心臓外科には、私と同じ年頃の医師や私よりも若くても優秀な人が数多くいた上、施設によってやり方が違うことから、「僕の手術で成り立つんかな」という気もして、不安はあった。けれど、菊池先生に会いに行った時に、「副院長室ってどこにあります?」と言って見せてもらったら、とても広かったから、副院長ポストで...