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「同じ手術をするのが嫌い」、心臓移植の新手法◆Vol.20

スペシャル企画 2016年9月20日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

――内胸動脈を使う小児冠動脈バイパス手術を考案したように、心臓移植でも手法に開発を重ねた。北村氏が考案した心臓移植におけるmodified bicaval法は、どんな手法なのか。 世界で初めて心臓移植を成功させたのは、南アフリカのChristian Bernard。1967年のことだ。彼はアメリカのミネソタ大学に留学していた。同時期に留学していたのは、日本初の心臓移植を実施した和田寿郎先生。でもChristian Bernardは学問的に心臓移植を確立するまでには至らなかった。動物実験を重ね、ヒトに応用して、心臓移植を確立したと言われるのは、Lower-Shumway法(両心房法)を考察した、スタンフォード大学のNorman E. Shumway先生だ。当時、心臓移植手技には、Lower-Shumway法(biatrial法)と両大静脈法(bicaval法)という二つの方法があり、前者L-S法は右心房と左心房を両心房レベルで吻合する方法。Lower-Shumway法では右心房が大きくなりがちで、レシピエントの脈拍を出す部分が残ってしまう時があり、心電図上、P波が二つ出てしまう。これに対...