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「医師の唯一の宣伝法、それは論文」◆Vol.21

スペシャル企画 2016年9月21日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――外科医の素養として、「腕」を磨くだけでなく、論文を書く重要性を北村氏は強調する。 外科医の中には、あまり論文を書かない人もいるけれど、私は論文や総説などをよく投稿している。それは自分の施設がどんな症例を取り扱い、どのくらいの治療成績か、どんな方法で治療しているかなどについて、医師を通じて患者に宣伝できる唯一の方法だから。テレビなどでPRできるのは自由診療の美容外科くらい。手術成績をホームページ上で公開している病院もあるけれど、嘘を書き、問題になることもある。 しかし、ピアレビュー論文には、嘘は書けない。医師と患者の信用も大事だけれど、医師同士の信用はもっと大事。 アメリカでは、施設別、術者別の手術成績を公表している州があるけれど、デメリットも大きい。成績が公表されると、医師は本当に疲弊してしまい、難しい手術をやらなくなる。一時期のニューヨークの病院がそうで、難しい手術は皆、別の州(オハイオ州)クリーブランド・クリニックに紹介するようになってしまい、同クリニックの手術成績が下がってしまった。 ――国立循環器病センター時代、心臓移植だけでなく、補助人工心臓の開発、普及にも力を入れた。 ...