最も辛かったのは「残念です」の一言- 村上智彦・ささえる医療研究所理事長に聞く◆Vol.5
インタビュー
2016年10月19日 (水)
聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
――改めて振り返ると、急性白血病が分かってから今に至るまで、一番精神的に辛かった時期はいつですか。「高度無菌室」におられた時でしょうか。 一番きつかったのは、最初に入院した病院で、あまり説明がなされなかった時。最初の化学療法の結果があまり良くなかったわけですが、「残念です」「やれることは限られており、より強力な化学療法をやるしかない」と言い、医師はそのまま去ってしまった。 その先生を責めるつもりは全くなく、すごくまじめな先生でした。僕が医師であることは知っていたので、「余計なことは言っていけない」と思っていたのかもしれません。そもそも血液内科医も、看護師も少ないという病院の事情は分かっていました。ただ、やはり命にかかわる病気なので、「残念です」と言われても、じゃあどうすれば、と。もう少し選択肢を示してくれるとか……。先が見えず、「あ、もうダメなのか」と。まして僕のように医師としての知識があると、余計にそう思うわけ。 医療を変革する必要性を説く村上智彦氏は、「意識を変えることで、変われることはたくさんある。意識を変えることには、一銭もお金がかからない」と語る。 ――「高度無菌室」でも本当...
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