オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~
オピニオン
2016年10月5日 (水)
藤田健二
創薬研究員、薬局薬剤師、学習支援・薬局研究部門のマネジャーを経て、シドニー大学大学院で薬学博士号の取得を目指す藤田健二先生に、オーストラリアの医療制度および薬局実務を読み解きながら、今後の日本の保険薬局のあり方について考察していただく本連載。最終回となる第9回は総括として、これまでに解説してきたオーストラリアの薬局サービスを質の観点から考察し、日本の保険薬局が学ぶポイントを整理します。 1.医療サービスの質評価のフレームワーク はじめに、サービスの質を評価するために使用するフレームワークの説明をします。今回使用するフレームワークは、アメリカの医師であるAvendis Donabedian氏によって1966年に提案されたことから、Donabedianモデルと呼ばれています。このモデルは、医療の質に影響を与える要因を「ストラクチャー」「プロセス」「アウトカム」の3つに分類して評価することによって、医療サービスの質を多角的に評価できるフレームワークとして提案されました。 「ストラクチャー」とは、サービスの提供前に決定付けられる条件。具体的には、物的資源(医療施設の数や配置、使用されている医療...
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