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「主治医・執刀医を大切にしなければ事故調査できず」 - 安福謙二・大野病院事件弁護人に聞く◆Vol.2

インタビュー 2016年10月8日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』を上梓したのは、医療事故調査制度に警鐘を鳴らす目的があったとのことです。 事故調査には、まずインフラ整備が必要です。そのインフラとは何か。一つには、手術の記録を正確に残す。具体的には録音、録画し、カルテも電子化し、それらの情報を医療者だけでなく患者とも共有し、患者が他の医師らの意見を聞きたい時にはすぐに確認できる体制にしておくこと。 事故調査において、まず「事実を知る」重要性を繰り返し強調する。 この辺りは一定程度進んできたと思いますが、何よりも重要なのは、「何が起きたのか」、つまり事実を調べる体制を整えることです。裁判が「事実認定」から始まるのと同じように、医療事故調査でも、事実認定をしなければ何も始まらないわけです。しかし、関係者から事情を聞く体制は整っているとは言えず、そもそもその必要性についての認識すら欠けているのでは、と思うときがあります。 その典型例が、大野病院事件のほか、先ほども触れた島根大学の医療事故(『島根大“事故調”、患者と医師の悲劇』を参照)、東京女子医大事件(『院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件』、『院内事故報告...