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大野病院事件、いまだ終わらず - 安福謙二・大野病院事件弁護人に聞く◆Vol.3

インタビュー 2016年10月16日 (日)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――本書の中で印象的なのは、2006年2月の逮捕に行われた「勾留理由開示」の時のエピソードを書いた部分と、「プロローグ」にある2008年8月20日の福島地裁判決言い渡しのシーンです。加藤先生についてのエピソードを書かれたのは、この部分くらいであり、ご遺族の意見陳述や加藤先生への尋問、最終弁論などには触れていません。結果的に、弁護士の立場から見た「大野病院事件」という姿勢を貫かれた本だと思います。 実は本を書いている段階で、「加藤先生の人となりが分かるエピソードがなさすぎる」と、出版元の編集者から随分指摘されました。結局は、「野武士のような人だ」という若い弁護士たちの言葉を紹介している程度です。 その理由は二つあります。一つは、その辺りのことを書き出すときりがなく、論告求刑や最終弁論にしても、一部分のみを切り出して書くのは、嫌だと思ったこと。出版社には、ホームページに、検察側と弁護側の冒頭陳述、論告求刑、最終弁論、判決の全文を掲載することを提案しています。そうすれば皆で検証できるでしょう。 もう一つは、私が書く以上、弁護人としての立場で書く以外にはないこと。ただし、本書は、法律家向けには...