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「私大であっても公的な役割を果たす」◆岩手医大Vol.2

スペシャル企画 2016年11月21日 (月)  高橋直純(m3.com編集部)

[第1回はこちら] ――教育理念に「全人的地域総合医療」を掲げています。 岩手県は北海道に次いで広く、四国四県の広さに匹敵します。2次医療圏は9つあり、それぞれに県立病院が置かれています。高度な医療が必要となった場合でも、救急車で本学まで片道3時間かかる場所もあります。しかし、過疎が進む岩手で全ての場所に全ての専門医を配置することは不可能です。他方、大学から定期的に専門医を送ったとしても、患者さんがたくさんいるわけでもないのです。 岩手医大矢巾キャンパス ですから、全ての医療人が全人的に診られるようにあるべきというのが基本にあります。例えば、80歳のおじいちゃんが鎌で顔を切った時には内科の先生でもその場で縫ってほしい。しかし、若い女性だったら内科の先生は手をつけずに3時間かけても岩手医大に連れてきて形成外科の先生に診てもらうべき。こういった臨床判断ができるジェネラリスト的な医師を養成しなくてはいけません。また、東日本大震災を経て県内の医師の意識も変わりました。 大学病院ということもあり専門分化は不可避ですが、ある程度は全人的に診られることが重要です。専門分化の一番の問題は内科と考えてお...