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「ミスをした人を罰する」、エラー防止の最大の障害

レポート 2016年11月20日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

第11回医療の質・安全学会学術集会が11月19日、千葉市で開催され、群馬大学医学部附属病院の肝切除術に伴う医療事故の外部調査委員会の委員長を務めた、奈良県総合医療センター総長の上田裕一氏がシンポジウムに登壇、調査の経緯や苦労に触れつつ、同事故のように、手術の「質」が問題視される場合には、クリニカル・ガバナンスを確立し、再発防止につなげる重要性を強調した。 手術事故では、とかく外科医個人の手術手技が問題視されがちだが、上田氏は、診療科、ひいては病院全体の問題として捉える必要性を説く。例えば、合併症が起きても、それが相次ぐと「慣れ」が生じ、注意喚起につながりにくくなるため、「集団的注意深さ」が求められるほか、臨床指標を設定し、「質」を測定するなどのクリニカル・ガバナンスが大切だとした。さらに各病院単位ではなく、学会レベルでの取り組みも重要であり、全国規模の全症例登録のデータベースを作成して、「見える化」を進め、手術成績の向上につなげる必要性を強調した。 2016年7月に外部調査委員会が報告書をまとめた直後、群大は執刀医と担当教授の処分を行ったが、この点も上田氏は問題視(『群大、執刀医と教授...