1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 勾留中の男性医師死亡、法医が刑事告発したわけ

勾留中の男性医師死亡、法医が刑事告発したわけ

レポート 2016年11月21日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

「死亡した男性医師の司法解剖の鑑定書は、急性心筋梗塞という結論が先にありき、という内容だった。これに対し、奈良地裁に提出した原告側の4人の医師の意見書は、いずれも急性心筋梗塞を発症したとの結論を否定している」 こう批判するのは、岩手医科大学法医学講座教授の出羽厚二氏だ。その矛先は、山本病院(奈良県)の男性医師(当時54歳)が、肝臓腫瘍切除術に伴う医療事故で、業務上過失致死罪容疑で2010年2月6日に逮捕され、19日目の2月25日に心肺停止に陥り、死亡した事案の司法解剖の鑑定書、およびそれを基にした奈良県警など関係者の対応だ。司法解剖の鑑定書による死因は、急性心筋梗塞。これに対し、出羽氏の意見書では、取り調べ中に、頭部、胸部、上肢・下肢に鈍体による殴打で傷害を負い、横紋筋融解症を発症、それが原因となり急性腎不全などの多臓器不全で死亡したと判断している。 検視調書に掲載されていた男性医師の解剖時の写真。右外側大腿部から右外側下腿部を中心に皮下出血が見られる。上肢{左右とも)にも皮下出血を認めている。 勾留中の死亡を問題視した遺族は、約9683万円の損害賠償を求めるため、2013年2月19日...