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小説「朔風 ―バトラー病院の午後―」 作者:久間十義

スペシャル企画 2016年11月2日 (水)  m3.com編集部

[あらすじ・登場人物はこちら] 毎週火曜日と金曜日更新 第131回:朔風は春の暖かな湿気と匂いを帯びて 病院譲渡の話が立ち消えたことにより、バトラー病院の内部は職員の流動化というか、紛糾の度合いを深めることになった。 >>続きを読む 第1回:ナースたちの噂 「だって、どう考えても不自然でしょう?」 職員用裏階段の直ぐそば、三階看護師準備室から若い女性たちの声が洩れていた。 「私もそう思う。あれは訳ありだわ。そうじゃなきゃ、東京の大学病院から北海道のこんな片田舎の病院にはやって来ないもの」>>続きを読む 第2回:「図体だけでかくて廃兵院みたいだ」 「でもなぁ、バトラー病院が最盛期だったのはほんとに一時期のことでね」 と飯島は続けた。「いわゆる一九六〇年代の高度成長期だけなんだ。中卒の男女が金の卵だとかって騒がれた当時は、それなりに地域の需要ってのがあったが、そのうち北海道は札幌をのぞいて過疎化の波に飲まれて、この有様よ。うちの病院だってご他聞に洩れぬ赤字経営で、市や道庁の持ち出しが相当あるようだ。先だってもな……」>>続きを読む 第3回:飯島のぼやき あとで気づいたのだが、車内が一瞬真っ...