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「そうだ!Watson君に聞いてみよう!」

レポート 2017年1月20日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

「Before Watson」と「After Watson」では、全く世界が違う。「A big fish in a little barrel.(井の中の蛙だった)」 東京大学医科学研究所では、2015年7月から米IBM社が開発を進める人工知能(AI)である、「Watson(ワトソン)」の使用を開始した。その前後の研究の変化を、同研究所ヒトゲノム解析センター所長の宮野悟氏は、こう形容する。 「Watson」は、用途に応じて幾つかのタイプがあるが、遺伝子解析用の「Watson for Genomics」の使用契約を結んでいる、日本で唯一の研究機関が東大医科研だ(2016年11月末時点)。2016年夏、「医師では診断がつかなかった急性白血病の治療法が判明。AIが患者の命を救った、国内初のケース」といったニュースが、マスコミでも多数取り上げられ、注目度が一気に高まった。 患者は60代女性。2015年1月に、急性骨髄性白血病と診断され、東大医科研附属病院で化学療法を数カ月にわたって受けていたが、白血球数は回復せず、難しい容態にあった。ところが全ゲノムシークエンスを実施、2000万件以上の医学論...