医療事故調査・支援センター、今すぐにできること
オピニオン
2017年1月22日 (日)
中島恒夫(一般社団法人全国医師連盟代表理事)
第6次改正医療法に基づいた新しい医療事故調査制度が運用されて1年以上経過した。これまで検討されていた医療事故調査制度は、「処分・懲罰」につながる「責任追及」や「補償」を目的としていたが、新しい医療事故調査制度は、将来に向けて次なる医療事故被害者を生み出さないという「学習」に目的が転換した。遅ればせながら、他の分野の事故調査制度と同程度の事故調査制度が、ようやく整ったばかりである。 医療事故も他の事故と同様に、さまざまなエラーが重なり合ってしまった「システム・エラー」の結末として表出する。何か一つの原因だけで発生することは、「まずはあり得ない」と考えなければならない。すなわち、何か一つの原因(点)だけを改善すれば、それで再発しなくなるわけではない。医療事故が発生するまでのさまざまな伏線を詳細に、かつ緻密に分析し、それら全ての伏線を改善することで「システム」として改善でき、再発の発生リスクをより軽減できる。伏線を一つでも残しておけば、いずれ、どこかで、再発してしまう。「RCA(Root Cause Analysis)」という手法や「要点整理」という事故調査手法が、医療事故調査に不向きである...
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