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進化する「Watson」、診断支援や新薬開発にも

レポート 2017年2月20日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

「Watsonの大きな特徴は、大量の文章を読み解き、それを理解し、人間の目では分からなかった新たな関係性を見いだすことができること。診断が容易ではなかった症例でも、患者のデータを基に、文献やガイドラインなどから最適な治療方針の候補を見付けたり、既存の薬とタンパク質や遺伝子などとの新しい関係性を示すことができれば、その薬の適応拡大につながるなど、その活用範囲は広い」 東京大学医科学研究所の例に代表されるように、日本の医療分野でも使用が始まった、米IBM社の「Watson」。その特徴を日本IBM社ワトソン事業部ヘルスケア事業開発部長の溝上敏文氏は、こう説明する。 「Watson」の開発は、米国で人気のクイズ番組、「ジェパディ(Jeopardy)!」へのチャレンジからスタート。問題文が読み上げられた後に早押しで答える形式のクイズで、2011年に人間と対戦し、勝利したことから、「Watson」への注目が一気に高まった。 ビッグデータの時代、膨大な医療情報を構成するものは、自然言語で記述された医学論文も含め、その約80%は、「非構造化データ」と言われる。しかも、毎年、大量の新しい知見が論文等で発...