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「一人前の心臓外科医」を養成するには? - 田端実・東京ベイ・浦安市川医療センター心臓血管外科部長◆Vol.3

インタビュー 2017年5月6日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――これまで先生のキャリアをお伺いしました。ご自身の経験を踏まえ、一人前の心臓外科医を育成するには何が必要だと考えますか? 多くの手術症例経験を通して、十分な知識、技術、判断力を身に付ける必要があります。ただし、一を聞いて一しか知らない人から、一を聞いて十を知る人まで色々いますので、一人前になるために必要な症例数は人それぞれです。学習効率や修練医のモチベーション、人材の有効活用などの点を考慮すると、10年の歳月をかけるよりは数年の短期間で集中的に学ぶ機会を作るのがよいでしょう。現在の多くの修練システムでは、ゴールが見えづらいことが問題です。ここで言うゴールとは、専門医取得ではなく、「一人前の心臓外科医になり、独り立ちする」というゴールです。スタート地点に立った時に、何年頑張ればゴールを達成できるのか見通しが付かない。 田端実氏は、「心臓血管外科領域の海外への人材流出が加速している」と懸念し、日本の医療において、運営・組織改革を進める必要性を強調する。 短期間で集中的な修練機会を作るには、入口を狭くして修練医の人数を絞る必要があります。入口が広くて出口が狭いシステムは、競争原理が働くとい...