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「深く穿刺しないようにする義務を怠った」裁判所の判断-静岡地裁、東京高裁判決を詳報◆Vol.4

レポート 2017年6月12日 (月)  高橋直純(m3.com編集部)

2010年に静岡赤十字病院において、左前腕に点滴ルート確保のために左腕に末梢静脈留置針の穿刺を受けた女性(当時34歳)が、技量のない看護師が十分な注意を払わなかったことが原因などとして、その結果、複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症し、後遺障害を負ったとして、7171万円の損害賠償を求めた民事訴訟。 Vol.4では、静岡地裁判決での事実認定を紹介する。 【掲載スケジュール】 Vol.1◆ “技量ない”看護師の穿刺でCRPS発症か Vol.2◆上肢の全廃、「心的要因も」病院側が反論 Vol.3◆発症までの経緯として裁判所が認定した事実 Vol.4◆「深く穿刺しない義務を怠った」裁判所の判断 Vol.5◆高裁、原審判決を踏襲(近日公開) ■■静岡地裁判決(2016年3月24日)■■ (1) 争点1(被告の過失の有無について) 過失1(避けなければならない部位に穿刺した過失) 女性は手関節部から中枢に向かって12センチ以内の部位は神経損傷の可能性が高く、穿刺を避けなければならない義務があったと主張する。証人H医師、A看護師は、本件当時、点滴ルート確保のための留置針の穿刺については、手背の静...