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がん治療、「臓器ではなく原因遺伝子で分類する時代に」

レポート 2017年5月31日 (水)  高橋直純(m3.com編集部)

国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」(AMED)が5月30日に開催したシンポジウムで、国立がん研究センター研究所長で東京大学大学院医学系研究科細胞情報学分野教授の間野博行氏が「がん研究と若手育成」と題して、がんゲノム医療の現状と、若手育成の取り組みを説明した。 間野氏は講演の冒頭、「10数年前にはがんの基礎研究は閉じた世界だったが、基礎研究の成果として素晴らしい薬効を示す分子標的薬ができて、一気に臨床とリンクする時代になった」と説明。自身が発見したEML4-ALK融合遺伝子を例に取り、2007年の発見からわずか4年後の2011年に米国、2012年には日本でALKキナーゼ阻害剤がそれぞれ承認されたことを紹介した。 この研究をきっかけに世界中で、がんの原因となる融合遺伝子の発見が続いており、がんゲノム医療が進んでいる。これまではどの臓器で発生したか、腺がんか扁平上皮がんかなど形状によってがんを分類し、治療方針も決めていたが、「肺がんの一部と、腎臓がんの一部は同じALKという酵素が活性化されることが分かり、同じ薬で治療されるようになった。本質的な原因遺伝子によって分類する時代になっている...