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「外科医に対する最大の歓迎」◆Vol.2

スペシャル企画 2017年8月13日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――もっとも、手打診療所には当初、手術設備はそろっておらず、麻酔機器を購入するところから始めた。また体制を整えても、手術の実施をすぐに受け入れてもらえたわけではなかったという。 離島で手術を開始するに当たって、さまざまな問題が浮かび上がってきた。貧弱な医療機器とマンパワー不足。輸血用血液の準備も必要。それ以上に、そもそも手術をさせてもらえるか、という問題があった。 僕の前任者は、手術をやっていなかった。僕が赴任して、最初に手術適応と思った肝膿瘍の患者さんには、「こんな所で手術しない!」と言われた。鹿児島市内の病院に逃げるように行ってしまい、僕はそれを見送るしかなかった。ただ、設備も人もまだ十分ではない診療所だったから、患者さんの側から考えれば当然だったと思う。 2017年7月16日は、千葉県の幕張メッセで開催された第17回ダイナミクス全国大会で講演。 最初に全身麻酔で手術をしたのは、胆石症の患者さん。2例目が骨盤骨折の患者さん。下甑島は、見事な御影石の産地で、大きな石切場があった。患者さんは、石切場に向かう山道でトラックごと横転して骨盤骨折、膀胱破裂、尿道損傷も合併するという重症の多発...