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ADLが低下したまま入院患者を帰すのか―田中滋・地域包括ケア研究会座長に聞く◆Vol.3

インタビュー 2017年8月21日 (月)  高橋直純(m3.com編集部)

――改めて、地域包括ケア検討会の2016年度版報告書についてお聞きします。「2040年に向けた4つの取組」として(1)「尊厳」と「自立支援」を守る「予防」、(2)中重度者を地域で支える仕組み、(3)介護サービスの生産性の向上、(4)地域マネジメント――を指摘しています。 2040 年に向けては、限られた人材と財源を前提とすると、個々人にとっての要介護リスクが高まる時期を後ろ倒しにできるかが重要な課題です。介護予防は、「高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと」と定義されており、これまでは一次予防から三次予防に分けて整理された議論がメインでした。 今回、新たな考えとして、「もう一つの予防」、すなわち「0次予防」を強調しています。高齢者がたとえ虚弱段階であっても地域社会に参加し、住民が地域と「つながる」状態のことです。よく知られているように、地域ごとに要介護者の発生率が違います。それは、まさに地域の力の反映と言えるかもしれません。例えば、地区の集会所でカラオケ教室が開かれる際、そこで歯磨きなど口腔ケアの重要性を伝え...