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「宮仕えは嫌」、大学に戻らず◆Vol.11

スペシャル企画 2017年9月11日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1972年、ドイツから帰国。母校の慶應大に戻らず、勤務したのは済生会中央病院(東京都港区)だった。その後、2005年に定年退職し、今の芦花ホームに勤務するまで同病院に33年勤めた。 慶應大外科の医局長に「宮仕えは嫌」と言って、「手術をたくさんできる病院で勤務したい」とお願いした。大学でポジションをとは考えず、ずっと手術をやっていたいと考えていたからね。そうしたら医局長から、二つ口があると。一つは川崎の病院、もう一つが済生会中央病院だった。どちらに行くかを迷ったけれど、済生会中央病院の方が慶應大に近く、何かと便利だし、同僚医師たちの顔ぶれを見て選んだ。 でも、世の中は、分からないものだね(笑)。行ってみたらそこでは、労働組合が荒れに荒れてたんだよ。戦後、旧ソ連に抑留され、ようやく引き揚げてきて、共産主義を信奉する職員が結構いた。全国済生会労働組合、略して「全済労」は、日本でも非常に先鋭化した労働組合だった。最初は「代々木系」だったが、その後に中枢が「革マル派」に乗っ取られた。彼らは、院内の食堂の前で、「こんな病院の1つや2つくらいつぶれなきゃ、日本は変わらねえ!」とか何とか、叫んでい...