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ジャイアンツの投手、再起をかけた手術◆Vol.15

スペシャル企画 2017年9月15日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――済生会中央病院時代の思い出深い患者として挙げるのが、1971年に当時の西鉄(現埼玉西武ライオンズ)に入団、その後、読売巨人軍(ジャイアンツ)に移籍し、主力ピッチャーとして長年活躍した、加藤初(かとうはじめ)投手だ。 加藤投手は右投げのピッチャーだが、1983年の5月頃から右手が上がりにくくなっていた。過外転症候群だった。7月8日に左足の血管を右肩へ移植するバイパス手術をし、懸命にリハビリを行い、2カ月後の9月9日には一軍に復帰した。 加藤投手が僕のところに来たのは、6月だったかな。僕は広島出身だから、言うまでもなく大の広島カープファン。ちょうどそのシーズンは、ジャイアンツと広島カープが優勝を争っていた。電話が入ったのは、そんな頃だ。ある大学病院を受診したけれど、「うちでは、手術できない」と言われたという。 血行障害を来し、選手生命を絶たれたピッチャーは多い。ではなぜ肩に動脈の障害が生じるのか。もともと哺乳類は四つん這いで歩く。しかし、人間は立ち上がり、二足歩行になったために、鎖骨と第1肋骨の間、胸郭出口が狭くなっている。この辺りにあるのが、大胸筋。それに直角になるような格好で小胸筋...